渓流ルアーフィッシングの魅力
渓流釣りとは、ヤマメ、イワナ、アマゴ、ニジマスといった渓流魚を河川の上流域で狙う釣りです。
元々のべ竿の餌釣りとして存在していた本来の渓流釣りからルアーフィッシングが行われるようになり、現在では人気のあるルアーフィッシングのジャンルの一種となりました。
特に2021年くらいからはコロナ禍のせいか渓流釣り人口が急に増えた気がします。
渓流のルアー釣りは決して単なる餌釣りの下位互換ではありません。
確かに餌には当然反応が良く、特に点で狙うポイントなどでは餌釣りに分があります。
しかし、時にルアーの方が手返し良く、ルアーの方が狙いやすい状況(ポイント)というのも存在します。
風光明媚な渓を眺めながら、飾りたくなるような綺麗なルアーを魚のいるポイントに打っていき、警戒心の高い渓流魚を釣り上げるというゲーム性が渓流ルアーの魅力。
そんな渓流釣りの楽しさと、必ず必要になる装備の揃え方を紹介します。
渓流ルアーの装備
基本的に渓流では餌でもルアーでも装備は同じです。
優先度で考えるとこんな感じ。
優先度S(必須、無いと釣り出来ない)
- ロッド+リール
- ウェーダー
- 遊漁券(河川による)
- ルアー(+ルアーケース)
優先度A(必要)
- ベスト
- ランディングネット
- 熊よけの鈴
優先度B(あった方が良い)
- 偏光サングラス
- 魚籠(ビク)
- フィッシングナイフ
ロッド&リール
ロッドは渓流域では5ftを基準に選びましょう。
渓流域のルアーフィッシングではとにかく長すぎるロッドは禁物です。
短い方が正確なキャスティングがしやすく、立木に引っ掛けるリスクが低くなります。
狙ったポイントを通すことが釣果に繋がるのでロッドの長さは重要です。
川幅が狭く源流域に近いような場所だと4ft、里川のような遮蔽物の無い場所なら6ftぐらいあってもメリットを活かせますが、渓流ルアーを始めるにあたっては中間の5ft以下をおすすめします。
そしてロッド自体は高級なものは必要ありません。
スプーン好きな筆者は安くて丈夫な激安グラスロッドの鱒レンジャーを愛用していますが、ロッドアクションを多用するミノーメインの時は張りのあるカーボンロッドでないとやりにくいです。
リールはスピニングリールの2000番でハイギアのシャロースプール(浅溝)のものがおすすめ。
強い流れの中を泳ぐ速さで巻かなければいけないので竿に合った小型のリールで巻き取り量の多いモデルが最適になります。
また、藪漕ぎなどで糸が劣化しやすかったりするので低コストで頻繁に巻き替えられるシャロースプールの方がおすすめ。
ラインはナイロン、フロロなら4lbを基準に選びますが筆者は6lbまで使う事もあります。
3lb以下の細すぎるラインはおすすめしません。
慣れないうちは根掛かり、ライントラブルなどが起こりうると思いますので、とりあえず安い4lbナイロンを頻繁に巻き替えながら練習していくのがおすすめです。
渓流タックルについては長くなってしまうのでこのくらいで割愛します。
ルアー
流れに負けない重量のある渓流用のルアーを選びます。
渓流ルアーの顔ともいえるのがミノー、スプーン、スピナーの3種類。
ここでは簡単に解説します。
ミノー
渓流ルアーの美しさを象徴するルアーと言えるのがミノーです。
流れに負けないヘビーシンキングが基本。
小刻みにトゥイッチさせてヒラ打ちアクションを出す事でリアクションで魚を釣るのが基本的な使い方で、ただ巻きではあまり使いません。
そう言われると難しく聞こえるかもしれませんが、私は最も使いやすい渓流ルアーだと思います。
作りが複雑な分、他のルアーより値段が高いのがネックです。
スプーン
トラウトルアーの基本と言えばスプーン。
シンプルで美しい、私が最も好きな渓流ルアーです。
基本的な使い方はただ巻きですが、メタルルアーの特性を生かしたアクション(リフト&フォール)やスプーンの形状や流れによって巻き速度の変化させる通し方が重要なファクターになります。
形は様々で、それぞれ泳ぎも違います。
主に3~5gくらいのスプーンでカラーはシルバー、ゴールド系のフラッシングするものがメイン。
スピナー
最強のただ巻きルアーと言っていいのがスピナー。
ビギナーにおすすめされている事が多いルアーでもあります。
水の抵抗を受けてブレードがくるくると回る事で魚を反応させます。
使い方としてはブレードが回る速度で巻いてくればOK。
ブレードが回る範囲で巻き速度を変化させたり、トゥイッチを入れたりする使い方も試してみましょう。
それぞれ3種には違った特徴があり、どのルアーが良いかは人によって変わります。
ルアーは好きなものを3~4個ほど持っていけばとりあえず大丈夫ですが、ネイティブのトラウトにはシルバー系、ゴールド系は基本的に反応が良いので持っておきましょう。
ウェーダーの選び方
ウェーダーとは水に濡れないようにするために着用するアイテム。
水の中に立ち込んで行う釣りやサーフフィッシングで使うのでご存じかもしれませんが、水の中を歩いて移動する渓流釣りにおいては必須アイテムです。
渓流は水が冷たくて、フィールドの形次第で水の中を歩かなければ進めない所もあります。
熱すぎる夏場なんかは着ないでウェットゲーターなどを着て速乾系の装備で行くこともありますが、そうした例外のスタイルを除いては基本着ることになります。
筆者的におすすめのウェーダーですが、結論をいうと「チェストハイウェーダーのフェルトスパイクソールの一体型」。
これが渓流釣りにおいて無難でコスパ的にも優れた選択です。
ウェーダーにはブーツまで一体になったタイプとブーツは別に揃えるストッキングタイプの2種類があり、金銭的に安く済むのは一体型です。
そしてウェーダーの長さは3タイプあり、肩のあたりまでのチェストハイ、腰までのウェストハイ、股下までのヒップハイの3種類。
まず前提としてウェーダーには水が入らないようにする必要があります。
渓流では場所で深さが違ったり、足場が不安定であることから少し体制を崩してしまってウェーダーに水が入るようでは良くないです。
つまりわざわざ水の入りやすいウェストハイやヒップハイを選ぶ必要は感じません。
これらのタイプは入るポイントを知ったうえで使うものであると考えているので、最初に選ぶ装備ではなく、また使える幅も限られてきます。
そして次に靴底のタイプ(ソール)ですが、川の中を歩くならばフェルトの付いたものが絶対に良いです。
渓流釣りでは転倒しないように細心の注意を払って川歩きをする必要があります。
何故なら単に川に流される危険性、というだけでなくウェーダーに水が入ると浮力のある下側が浮いてしまい最悪溺れてしまうためです。
普通の靴にあるようなすべり止めが付いたラジアルソールは平地や乾いた場所ではグリップ力があるものの、水中やぬめりのある岩の上ではツルッツルに滑ります。
フェルトソールならば濡れた場所に対しての防滑性が高く、比べるとかなりの違いがあります。
筆者はしばらくフェルトソールで渓流釣りをしていましたが、フェルトでも滑るところでは滑ります。
そこでスパイクとフェルトが一緒になったフェルトスパイクがおすすめです。
滑る場所というのは大体がフェルトかスパイクのどちらかで防げるため、フェルトも滑ってしまう場面ではスパイク、スパイクが滑る場面ではフェルトといった感じでお互いの短所を補うことが出来ます。
以上の事からチェストハイ(ブーツ一体型)のフェルトスパイクソールがおすすめになります。
ちなみにフェルトソールの弱点は砂や泥の上を歩きすぎると目が詰まって効力が落ちてしまうので渓流用にフェルトソールのウェーダーを買ったら、サーフフィッシングなどでの兼用は控えたほうが良いです。
遊漁券を購入する
河川毎に決まった遊漁券、もしくは県内の河川に共通で使える券を購入しないと渓流釣りが出来ません。
1日券、年券ともに小さな釣具屋から大手チェーンの釣具店まで色々な場所で購入出来ます。
基本的には共通して3月~9月が渓流で遊漁出来る期間となり、解禁前の2月頃から年券の販売が開始されているので早めに買っておいてもいいでしょう。
購入には腕章に入れる証明写真が必要と言われる場合がありますが、釣具店によっては「後でここに写真入れて下さいねー」と普通に買わせてくれたりします。
ベスト
渓流用のベストはルアーケースや小物を入れたり、背中のDカンにランディングネットを付けるために重宝します。
メッシュ素材のものだと夏でも通気性が良く速乾性があるのでおすすめです。
こだわらなければそんなに高いものでもない(大手釣具屋で3000円あれば買えるくらい)のであった方が良いです。
ランディングネット
渓流のランディングネットは携帯性に優れた小型のものが主流。
値段はピンキリで渓流ルアー釣りにおけるこだわりポイントと言えます。
渓流では釣った魚を置くスペースが無いのでネットが無いと後悔することになるかもしれません。
特に川に入っている時は必須です。
ベストの背中のDカンにマグネットとコードで落下防止をしておかないと知らぬ間に川に流されていく可能性がありますので注意しましょう。
熊よけの鈴
渓流の釣り人が最も恐れるのが熊。
鈴をつけていれば必ず熊が避けてくれるわけではないですが、山歩きでは携帯が推奨されているアイテムです。
特に人の寄らないエリアでは持っておくべきですね。
素材、大きさなどから物によって音量や高さが全然違いますが、とにかく普通の鈴ではなくクマよけ用のものを選ぶのが良いです。
偏光サングラス
渓流では視覚による情報から釣果に繋がる事が多いので、川の中をはっきり見る事が出来る偏光サングラスは重要なアイテム。
チェイスを視認しやすくなったり、地形の変化を目視することが出来るようになる神アイテムです。
同じ偏光サングラスでもレンズカラーや偏光度で見え方が変わります。
もし釣果を増やしたいなら間違いなく必要になるでしょう。
値段は安くても良いのでとりあえず1つは持っていたいです。
落下防止には100円ショップにも売ってるメガネストラップを付けておくのがおすすめ。
ちなみに買い渋っている人はワークマンに売られている格安の偏光サングラスでも十分使えるので1度使ってみることをおすすめします。
魚籠(ビク)
釣り歩くスタイルの渓流釣りではクーラーボックスは持ち歩けないので釣った魚を入れるビククーラーはキープ派なら持っておきたいところです。
ビニール袋に冷たい川の水を入れてぶら下げる方法でもなんとかなりますが、すぐ穴が開いたり、川を歩くときに注意を払わないといけなかったりして邪魔になります。
その点ビククーラーであればショルダータイプで邪魔にならず、魚が出て行ってしまうこともありません。
フィッシングナイフ
釣った魚を捌いて持ち帰るのにはナイフが便利です。
小型ナイフなら何でもいいですが、渓流では携帯性に優れた折り畳みタイプのフィッシングナイフがおすすめ。
この装備があれば渓流釣りは大丈夫
今回紹介した装備があれば渓流釣りはほぼOKです。
道具は人によって自作など工夫したり、使いやすいようにカスタムしたりしているので必ずこの装備でなければいけないというわけではありません。
あくまで初めての人に分かりやすく解説しましたが、釣行を重ねるたびにこうしたら便利になるかも?といった疑問から自分なりのスタイルが見つかると思いますので、参考としていただければ幸いです。